いつまでも君と……

愛犬のために わたしたちができること

そんなに鳴かないで ~みのすけがうちの子になったのは~

f:id:fukuichrin:20170811023232j:plain

撮影&文:福井恵子

みのすけがうちの子になったのは、2009年12月。
忘れもしない、冬季休暇の2日目のことでした。

冬休みに入った初日、わたしはウキウキで、先住犬のクリンとニコのために、うちの近くのホームセンターにフードを買いに出かけました。
ちょうど年末商戦真っ只中ということもあり、値下げのポップが大々的に張り出されていました。

このホームセンターのペットコーナーでは、生体販売もしています。
しかしこの頃のわたしは既に、こういったところで売られている子は、パピーミルという劣悪な環境で、無理な繁殖をさせられえた子が多いという知識を得るようになっていたので、昔は大好きだったこのコーナーも、すっかり哀しい場所に――

普段はできるだけ見ないようにしてました。

 

f:id:fukuichrin:20170811023436j:plain

この当時、先住犬のクリンはまもなく10歳で、ニコは7歳。
ふたりとも元気に過ごしていてくれてましたが、いなくなったらどうしようなど漠然と不安に苛まれることもありました。
そして、もう1頭迎えたら世話が大変になって、何となく哀しみが分散されるかもしれるんじゃないかと――、今思うと、随分おかしなことも考えていました。

そんなこともあったのか、いつもは避けていた生体販売コーナーを、横目でチラッと見てしまいまったんです。
その頃はチワワとトイプードルが大人気で、小さくて可愛いフワフワの仔犬たちが沢山。そんな中、何やら茶色い、少し大きめの子がわたしの目に入りました。
フワフワの子たちの前には、家族連れが鈴なりですが、その大きめの茶色い子の前はガランとしており、その子はポツンとしているように見えました。

わたしは、吸い寄せられるようにその前に立ちました。
フワフワの子たちは、目をキラキラさせながら、前に立つ人に愛嬌を振りまいてましたが、茶色いその子はずっと下を向いて、まったく目を合わせません。表情は固く、伏し目がちな仔犬。

ケージに手を添えても、まったくこちらを見ようともしませんでした。わたしはそれが逆に気になって、ずっとその子の前に立ってました。
それがみのすけでした。

まもなく5ヶ月を迎えようとしていたその子は、セールになっているにも関わらず、鈴なりの人たちはほとんど無関心でした。

「ビーグルは狭い我が家では難しいかなぁ」
わたしは後ろ髪を引かれながら、その日は帰宅しました。
夕食の際、旦那にまったく可愛げのないビーグルについて話しました。あんなに陰のある仔犬を見たことがない、だから余計に気になる、と……

f:id:fukuichrin:20170811023512j:plain

翌日は旦那も仕事が休みだったので、一緒に見にいきました。まだうちに迎える決心はできていませんでしたが、ものすごく気になっていたんです。
ケージの前に立ち、茶色い子の顔を覗き込みました。その子は、チラッとこちらを見て、また下を向きます。

店員さんが寄ってきて抱っこを促されたので、思い切ってその子を抱っこしてみました。すでに大きくなりつつあるその子は、結構な重さでした。

腕の中で身じろぎもせず、体を預けるその子。
これ、あかんパターンです 笑

でも、うちではやっぱり無理かもしれない。何よりもスペースがない。
年末でたくさんの人たちが来店しているし、この子にも家族が見つかるかもしれない。ちょっと冷静に考えよう。そう思い、店員さんに返しました。

明らかに落胆した表情の店員さんを横目に、なかなか決心がつかず、悶々としているその時。裏から悲鳴のような声が聞こえてきました。

ヒャヒ―――ン! ヒャヒ―――ン!
まるで「置いていかないで!」と叫んでいるようでした。
鳴き止まない声。

ちょっと泣きそうになって立っているわたしの耳元で、旦那が囁きました。
「あの子は売れ残って、実験動物になるかもしれへんな。可哀想に」

――お前は鬼か!――
鳴き止まない、悲鳴のような声。…………………(ノДT)

f:id:fukuichrin:20170811023534j:plain

再度店員さんに、抱っこさせてほしいとお願いしました。そして悲愴な顔をして出てきたその子を抱っこすると、ピタッと声は止みました。
相変わらずこちらを見ませんが、体は先ほどより更にこわばり、まるでしがみつくかのように必死で腕の中に収まろうとしていました。

チーン!
私の次のセリフはお決まりの、「カードは使えますか?」でした 囧rz

まずはうちから、先住犬クリンとニコを連れて来て、とりあえず面接ですわ。
気が合うかどうか心配でしたが、幸いにも普通。
それで、ご成約と相成りました。

その子は腕の中ではあれほどおとなしかったのに、うちの子になったらまぁ無茶苦茶でした (´Д` )
どうも虐待されていたようで、とにかく手を怖がりました。頭を撫でられない。抱っこできない。ハーネスもつけられない。見事な3ない運動でした( ゜∋゜)
手を差し出すと噛む、唸る、ご飯だけはガツガツ食べましたが、マテの練習さえ出来ませんでした ε-(´∀`; )

少しずつ少しずつ、まずは信頼関係を作ることから始めました。
その間に、母の眼鏡を壊され、壁に穴を開けられ、システムキッチンは噛まれ、茶箪笥を破壊され、とにかくあちこち壊されまくりました。
初めてお腹を見せてくれたのは、うちに来てから数ヶ月経った頃でした。

1年を過ぎた頃、みのすけの散歩の途中でそのホームセンターに立ち寄ることがありましたが、中に入った瞬間にみのすけの顔は強張り、見たことがないくらいに怯えて、歩けないほど震えていました。
その時に、この子はここで、本当に恐ろしい思いをしたんだと確信しました。

そのホームセンターはその後、潰れました。これであのペットショップもなくなったと思うと、大変失礼ですが、正直嬉しかったです。

f:id:fukuichrin:20170811023557j:plain

そんなみのすけも、今年7歳。
いつまでも赤ちゃんみたいですが、もうシニアの仲間入りです。
でも、真っ白のお腹を初めて見せてくれた日の感動は、未だに忘れられません。
今ではお腹を、出しっぱなしですがね (゜ρ゜)

後日、たまたま旦那と、みのすけがうちに来た日について話すことがあり、旦那の鬼の一言について異議申し立てをしました。

「ようあんな酷いことが言えたもんやな」
「だって、そうゆうたら決心つくやろ?」
旦那はニヤッと笑っていいました。

 (  ̄っ ̄)

ちなみに旦那とみのすけは、顔がソックリです。

 

犬の名前:みのすけ
犬種:ビーグル
飼主:福井恵子
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。

f:id:fukuichrin:20170808121637g:plain

ブログランキング・にほんブログ村へ